イドへ至る森へ至るイド

Sound Horizon( サウンドホライズン ) イドへ至る森へ至るイド專輯

3.彼女が魔女になった理由

作詞:Revo
作曲:Revo

坊や 光を知らないアナタは
視力という その概念自體 解らなかった
坊や 背中に抱きつきアナタは
「おかあさん。ひかり、あったかいね」と
無邪氣に笑った
嗚呼 ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい
アナタを產んだのは 私です 私です
罪深い《私》です……

母にして姊であり、斷罪者にして贖罪者であった。
Therese von Ludowingの知られざる物語……。

森に移り住み 贖罪の日々を
藥草集めて 煎じてみたり
神に祈っても 屆きはしないし
罪を抱きしめて 祈れやしない
せめてあの子の為に 出來得る限りの全てを
遣りもしないで 唯 嘆いて等いられないわ

——傷を癒し、病を治し、
時には冬に 傾きかけた赤子をも取り上げた、
森に住む賢い女の噂は、
何刻しか千里を驅け迴り、
皮肉な運命を導く事となる……。
その夜 驅け迂んで來たのは
お忍びの侯妃で
月の無い闇の中を 希望の燈りを信じ
髮を振り亂す 母と奔らせたのは
譯ありの侯女で
抱きしめて腕の中で
もう息をしていなかった
その幼子を託して 妃は泣き崩れた……

救われる命があれば、奪われる命がある。
それを因果應報と切り捨てても良いのだろうか……。

とても不思議な出來事によって
息子は光を手に入れたけど
それが果たして幸福なことだったのか
今となっては善く判らない……

一度は冬に抱かれた 愛しい可愛い私の坊や
生きて春の陽射しの中で
笑って欲しいと願った母の
想いも今や 唯 虛しく
束の間の陽光さえ
戲れに 奪われてしまった
觀よ 嗚呼 この喜劇を
ならば私は 世界を咒う本物の《魔女》に……

——そして、【第七の喜劇】は繰り返され續けるだろう……